平成16年11月○○日(○) 府内某所にて |
クリニック,こりゃいいことだ.普段の顧問とは異なる面からアドバイスを頂ける 良い機会である.さて,VAと古川先生の協力が得られた時はお任せできた訳だが, 場所は, ・・・確保できた.(HA様,感謝です) 次は,誰がアドバイスするねん ってことになる訳で,結局連盟顧問から選ばれた のだが,その話の過程で,アドバイスによる変化(上達)を目に見える形で具現化 したものがあるといいよな との話の行き着いた先が,この顧問劇なのである. 当初ぶっつけ本番で適当にと言う話が,見る見る形を整え台本まで登場.やっぱ 事前練習はいるやろう.ここではもっとこないして.こんなん入れたら面白いで・・・. このモードに入ってしまえば実に楽しい.次から次から色んな事が出てきて,即実行. で,いつの間にか,ウエポ原案がぐちゃぐちゃになっちまった. スミマセン. でも,作家ウエポ氏が一番良くわかっているのは,どんなに色々決めておいても,その 細かな決め事がこのメンバーで再現できるはずなど無いのだ.グハハ! |
軽音連 新人戦ライブ演奏劇 「ある日の練習室より」 (ウエポ氏作) ここはある軽音楽連盟加盟校・軽音楽部の 部室。1つのバンドが新曲の練習に取りかか ろうとしています。 |
H「さぁ今日から新曲やるでぇ」 YTU「オッケー」「がんばろう」「さぁやるでぇ」 F「え〜っと,今日は何の曲やるんやったっけ?」 H「おいおい!『こいのうた』やないか! みんなちゃんと曲聴いて 来たんかいな?」 U「聞いてないけど,『こいのうた』やろぉ。楽譜あるからイケるって」 B「えぇー! この前『C7』しかせえへんて言うてたやん。ここに ちゃんと書いたるでぇ。いつ変わってんよー?」 H「ケイタイ持ってへんやつはこれやから困るわ。いっつも連絡まわって へん。 おいおいこんなんで練習できるんかよぉ」 |
ワンポイントアドバイス! バンドの練習をする時は,『いつの練習』に『どの曲』を 『どこまで』演奏するかは最低決めておくこと。そして練習する曲は当日までに『全員が 歌える位に』聞き込んでおきましょう。 |
H「さぁとにかくやろか」 一同「やろやろ」 (1フレーズ演奏してみる) Y「なんかおかしない?」 B「そぉかぁ,オレわからんかったけど」 H「誰か音くるてるんちゃうん!」 F「さっき合わせたで,(再度チューニング)やっぱり大丈夫やった」 U「ぼくも昨日寝る前にちゃんと合わせたでぇ,(再度チューニング) あれぇ,えらいズレとるわ」 |
またまたここでワンポイントアドバイス.皆さんチューニングはしてますか? 音の高さをきちんと合わせてないとせっかくの演奏が台無しです。機械的に音程が 決められるKyはいいのですが,GuやBaはすぐに音がズレてしまいます。 熱い舞台上で1曲演奏するともうズレてしまう程に繊細なものなのです。皆さんも せめて練習前には必ずチューニングをしましょう。 |
H「よっしゃ,さぁやるでぇ」 一同「やろやろ」 (1フレーズ演奏してみる) Y「なんかまだおかしない?」 B「そぉかぁ,オレわからんかったけど」 F「おいおい!みんなどっち向いてるん! まだ覚えてないん?」 U「ごめん,楽譜見いひんかったらまだ弾かれへんねん」 H「オレはケイタイ検索してきたから,これ見ながらバッチリやで」 |
バンドの息を合わせるには,まず目線を合わせることです。特にリズムの要の DrとBaはアイコンタクトが基本です。そのためには事前の個人練習で楽譜を 覚えてきて,練習中には楽譜なしでできるようにしておかないと,周りの音が 聞こえず全然練習が進みませんよ。 さて,3日後・・・ |
H「おぃ,今日はみんな曲OKやな?」 一同「今日はイケるで」「まかしとき」 H「ホンマかいな。ところでな,実はな,この曲音程低いねん。歌い にくいから音上げてほしいねんけど・・・」 F「エー! まじすかっ」 U「先言うといてや!」 Y「私は別にかまへんよぉ」 B「もう覚えたんやでぇ,そのまま歌っといてや」 H「あんな,この音やったらどうしてもテンション下がってまうねん!」 |
さて,皆さん。これはVoのワガママだと思うでしょうか? 確かに事前に言っておかなかったのはちょっとマズかったですが,これは実は Voの言う事が正しいのです。どんなにバックが良い演奏をしても”バンドの顔” となるVoが100%の力を発揮できないような状態で曲をそのままやってはいけない のです。逆にメンバーの誰かがやりたいからと言って,Voが歌えないような曲を 無理に選ぶのも間違いなのです。 さて・・・,ではどうしたら良いのでしょう。 |
F「それでどの位上げてほしいねん」 H「ちょっとずつ上げたヤツ弾いてみて」 (音を順に上げて調べていく) H「それそれ,それが丁度エエわ」 F「今,2音半上げたで!」 U「わかった。チューニング2音半上げやな。ちょっと待っててや」 H「こらこら,そんなんしたら弦切れるやんか」 F「GuもBaも1フレットは半音やから,5フレット上で今までと 同じように弾くだけやん」 (少し上げて弾いてみて納得) U「オマエ,頭ええなぁ」 |
最近はスコアでも『半音下げ(ハーフダウン)』とかって良く書かれています。 でもあれって,録音の都合で機械を使って音を下げた場合も多いんです。それを 1つのステージの途中でやろうとすれば,GuやBaなんかは2本ずつ用意する ことになるでしょう。だから,楽譜に半音下げって書いてあったら,要は次の曲を 1フレットずつ上を弾いたらいいわけです。 さて,ではKyの場合はどうしたらいいのでしょう。 B「それでは解説しよう。 KyにはTransposeという機能が付いていて,カラオケの音上下と同じく, 弾き方が同じでもボタン1つで高い音,低い音が出せるのです」 さぁ,このバンド,どんな風に変わったのでしょう.1度比べてみましょう。 (@元の高さで演奏) (AVoに合わせた高さで演奏) これに更に動きやアイコンタクトを入れると,ステージはこんなに変わるんです。 (B顔を上げ,リズムを刻みながら演奏) どうです? 何か全然違う曲みたいになりましたね。VoにKeyを合わせ, 互いに目線を合わせながら演奏する。これだけでも十分『アレンジ』なんですよ。 ホークス君,バッチリでしたよ。これだけできれば完成ですよね! それでは 演奏劇はこれにておしま・・・ H「ちょっと待て!こんなんで終わったらオレ不完全燃焼で今日寝れんようになる! あのなぁ,ある程度できるようになったら,自分らのバンドに合わせて曲を自由に いじっていったらエエねん。構成とか速さとかな。ほんなら最後にホークス流の アップテンポ版をやったるさかい,よう見とき!」 (C全開で演奏) はい,ありがとうございました。今度こそ『ある練習室より』はすべておしまい。 |